わたしは家に帰り、泣いた。
沙織と別の高校に行くことになり
とても悲しかったし、これからの
高校生活に不安があったから。


沙織はというと、家に帰ってから
少し泣いたという。

春休みの間は、ずっと一緒にいて
毎日のようにわたしの家にきていた。


4月になり、高校入学への期待と不安で
胸がいっぱいになっていたわたしは
思い切って伸ばしていた髪を切った。
ほんと、気休めに。
つらくても頑張ろう、と思って。


沙織は、私立に入学せず、
通信制の高校に入学した。

そして、わたしはT高校に
無事入学した。



入学式。

わたしは朝から早起きし、
新しい制服を着て、登校した。
1-5。わたしのクラス。
地元から受けた人は、わたしを含め
3人だけ。周りはみんな初対面。
人見知りのわたしだが、
思い切って隣の女の子に声をかけた。

「あ、あのっ...
入学式ってすぐ終わるんかな...」

これが、わたしの精一杯。
そんなこと聞いても、彼女が
知っているはずもないのに。

「お昼には終わるんちゃうかな?
寒いし早く帰りたいよな」

彼女はそう答えてくれた。
わたしは、あはは、と笑い
「わたし山田 愛希、これからよろしくね」
と、一言言った。

「渡辺 葵!よろしくね」
葵は、そう言うとわたしにアメをくれた。


入学式も無事おわり、友達もでき、
わたしの高校生活のスタートダッシュは
とてもいい感じに始まった。