兄さんはおかしくなったらしい。

あの言い争いの後からずっとニヤニヤし

てる。

「兄さん、気持ち悪いです。」

「なんだよ。いいだろ。明日は稽古がお

休みなんだから。」

「えっ。」

変な兄さん。

いつもなら、稽古がお休みだったら嫌が

るのに。

「兄さん。なにかあったの?」

僕は急に不安になった。


「なんにもないから、安心しろ…。」

「……」

「おいっ。俺の言葉を信じてくれ。」

「そこまで言うなら。」

「ありがとう。」

やっぱ変だ。まあ、兄さんが信じてと言

うなら信じよう。