――退屈だ。
この世界はどうしてこうも、退屈なのだろうか。
彼女――榊原亜紀は、屋上のアスファルトに寝そべってフェンスの向こう、青が広がる空を見上げていた。
指定のブレザーは近くに置いて、ワイシャツは第一ボタンを外し、ネクタイも緩めて。
アスファルトに無造作に広がるのは、茶色味がかったセミロングの髪とチェックのスカート。
青に浮かぶ白。
たゆたって、どこへ流れてゆくのだろうか。
亜紀の近くには読みかけの文庫本が二、三冊投げ出されていた。
それすらも今の亜紀には魅力が感じられないのだ。
何回も何回も読み返した本。
退屈を持て余した、無気力な少女。
そして、青。
桜の花びらが一枚、舞い上がってきた。
ガチャリと開かれる、屋上と校舎の中を繋ぐ重たい扉。
誰かがこの場所に侵入してきたのが判った今も、亜紀はそこを動かず瞳を閉じた。
この世界はどうしてこうも、退屈なのだろうか。
彼女――榊原亜紀は、屋上のアスファルトに寝そべってフェンスの向こう、青が広がる空を見上げていた。
指定のブレザーは近くに置いて、ワイシャツは第一ボタンを外し、ネクタイも緩めて。
アスファルトに無造作に広がるのは、茶色味がかったセミロングの髪とチェックのスカート。
青に浮かぶ白。
たゆたって、どこへ流れてゆくのだろうか。
亜紀の近くには読みかけの文庫本が二、三冊投げ出されていた。
それすらも今の亜紀には魅力が感じられないのだ。
何回も何回も読み返した本。
退屈を持て余した、無気力な少女。
そして、青。
桜の花びらが一枚、舞い上がってきた。
ガチャリと開かれる、屋上と校舎の中を繋ぐ重たい扉。
誰かがこの場所に侵入してきたのが判った今も、亜紀はそこを動かず瞳を閉じた。
