なんであたしは奏にリンゴジュース貰ってるんだろ
なんであたしは隼汰に捕まったんだろ
なんであたしはあんなに早起きしたのに〜!
「幸ちゃん?可愛い顔してるよ?」
「怒ってるんだけど」
「え〜、これっぽっちも怒りを感じないくらい可愛い顔だけど〜?」
「うざ」
荒牧健吾ぢゃなくて、健は本当に謎過ぎる
何考えてるのかさっぱり分からない
それよりも、なんでこの人はイチゴミルクを大事そうに両手で握って飲んでるの
甘党かよ
無表情な蓮が、今は無邪気な蓮になっていた
それにしても
周りからの視線が痛い
明らかに銀狼のせい
早くここから逃げたい
そんな時だった
「あ、居た居た!さーちー!!」
聞き慣れた声が聞こえた
いっその事空耳であって欲しい
「ちょっとー?幸!何無視してんの!」
「アスカさん……」
一体何しに来たの…
「あのねー!ちゃんとご飯食べないとガリガリになるわよ!?ただでさえ細いのにそれ以上細くなってどうすんの!」
ズンズン私の前に進んで来るアスカさん
この顔は…怒ってる〜!
「分かった!食べるから、ちゃんと食べるから。早く帰って」
私が慌てているのが珍しいのか不思議そうに見てくる銀狼
「はい!これお弁当ね?ちょっとでも残してみなさい?私、怒るからね〜!」
もう怒ってるじゃん
お願いだから銀狼に気づか「あら?この子達は?」
あらら、気づいちゃった
