目の前にいるのは多分…年下。


伊藤とタメだと思う。



私は、本気で伊藤以外パシリにするつもりはない。



「…私、人をパシるのが趣味とかじゃないから。あきらめてよ。」



冷たい視線で睨み付けながら、私はばっさりと言い放つ。



普通の人ならこれで諦めるのに、その男の子は…ちっとも立ち去る気配はない。



「…じゃあ伊藤理功は、成瀬さんの何なんですか？」


むしろ、逆に突かれた痛い部分。



……分かった。


コイツ、完璧なＭじゃん。



「は？伊藤は―…」



私だって、こんな男に負けるつもりは全然ない。


動揺なんて微塵も見せずに、私は話を続ける。





「……伊藤は、ただの使えるパシリだけど。」





―…ごめん、伊藤。


こんなの、コイツを諦めさせるための嘘だから。




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