聞き取れないくらい小さな声で話すヒナの言葉に説得力は全く感じられなくて
ますます…俺は気になるだけだった。
でもそれ以上、聞くことはしなかった。
───────────・・・
あの日を境に…ヒナは俺が部屋に戻ると、お決まりのように眠っているのがフツーになり、一緒に飯を食べても…すぐに家に帰るって言うようになった。
俺の帰りが遅くなった時は、飯を食べないまま家に帰ることもあったし…
────で…今日もまた
「…ごちそうさま。すげぇ うまかった」
「…本当?よかったぁ」
今日の夕食のメニューは、ヒナお手製のトロトロの卵がたまらないオムライスに…野菜たっぷりのポトフ。
それらを食べ終えると、ヒナは急いで お皿を持ってキッチンに行った。
その姿は もう俺の中で
皿を洗い終えたら 家に帰るっていう“合図”になっていた。


