双龍の名を背負った女




「…い、おいっ!!」



上から聞こえた大音量に思わず体がはねた。


ばっ、と上を向くと、そこにいたのは牙狼と数人の男女。


、おそらく特別寮生達。


いつ集まったのかしら。


大声を出したのは、たぶん祐樹だと思うけれど。


「もぉ~、綾乃集中しすぎ~!!

 みんな来ても全然反応しなかったからびっくりしたよぉ~?

 ……不調なの?」


華乃が言外に言いたいことがわかって心の中で苦笑してしまう。


私が現役の時に敵の気配に気づかなかったことはないもの。


――感覚が鈍ってるのかしら、


そんな事を考えながら、


「違うわ、小説に入り込んでしまっていただけよ。」


そう華乃に言った。


納得はしてもらえないでしょうけれど、。