まず簡単に状況を説明すると

時希は今盛大に少女から睨まれ、手を引いて歩いている

少女はゴミまみれだ

その理由はつい五分前まで遡るー


「わぁああああああどいてどいてどいてぇええええええ!!!!!」

「わぁあああああ?!」

ドンガラガッシャーン

少女はゴミ箱に突っ込んだ
1.5mくらいの塀が近くにある。どうやらそこから飛び降りたらしい

着地点にする予定の場所に時希が立ち止まってしまったのだ

時希は咄嗟に頭を下げたのでぶつかることはなかったが足元を崩した少女は見事にゴミ箱に落ちてしまったのだ

「なんで避けたぁああああ!受け止めんかぁああああ!」

「君がどいてって言ったんでしょぉお?!」


ーで、今に至る。

「な、なんか…ごめんね」

時希は少女に謝るが恐ろしいほど睨まれている。しかもゴミまみれ

しかしよく見ると結構な美少女である
膝まで伸びた長い金髪を赤いリボンでツインテールにし、深紅の瞳と整った顔立ちはまるで人形のようだ
実際、人形が着るようなひらひらふわふわしたワンピースを着ている。
スタイルとしては少々発育に問題ありそうだが…

「本当ごめん、あの、ウチのお風呂使って…。あ、名前は?」

「…つくや…」

「つくや?」

「神無月 月夜(かんなづき つくや)だ」

「綺麗な名前だね。僕は高瀬 時希。よろしく。あ、家ここなんだ、入って」

小さな一軒家
高そうな服を汚してしまい時希は悪くないのに罪悪感にかられ、少女を家にあげる

「邪魔をする」

物珍しそうに周りを見渡しながら月夜は足を踏み入れる

「シャワーここ。であれがシャンプーで…」

「わかった。ありがとう」

「バスタオル置いておくから」

じゃっ。と出て行こうとした時希の腕を月夜が掴んで引き止める

「な、なぁに?」

「着替えは?」

「あ。そっか…洗濯間に合わないもんね」

しばらく考えて時希はこう言った

「買ってくるよ。お詫びも兼ねて…」

「買う?借りることは出来ぬのか?母親のとか…姉妹とか、いないのか?」

一瞬。時希は悲しそうな顔をしたが月夜は気づかなかった

「…。多分、サイズが合わないから。行ってくるよ」

「そ、そうか、悪いな。では代金は私がもとう。このカードを使うといい」


渡されたのはとんでもないカードだった