「美香さんが、母さんに、本当のことを話せといったのは意地悪したかったからじゃない」
「?」
「美香さんは、君と、本当の母親である、水原アヤの関係も回復させたかったんだ。
君にだけは、すべて話して、受け入れてもらえると信じてた。美香さんは誰より、君を信頼していたんだ」

「君は何も悪くない。君のせいじゃない」

琴音は、バッグをひっくり返すと、封筒を取り出した。

「君に会えたらすぐ渡せるように、毎日持ってた」