七海晶の曲を書いてくれないか、と坂本は土下座をした。

「頼む! 僕と琴音くんを助けてくれ!」
「……」
「君にはまわりの人間をやる気にして動かす、不思議な力がある」
「そんなことありません」
「美香さんと同じだ。誰にでも優しくて、でも力づけてくれる不思議な魅力があるんだ」

ワガママで自由だった母さん。
でも彼女は優しかった。

「亡くなった美香さんと約束したんだ。良い映画を撮る映画監督になると」
「……」
「君は誰かの光になれる。優しさは弱さじゃないんだ」
「坂本さん」
「美香さんは、僕の夢を笑わなかった。君も、琴音くんを主人公にと推薦してくれた。だから、どんな手を使ってでも、この映画を完成させたいと思っている」

「僕と美香さんと琴音くんのために、君の力を貸してはくれないか?」




「君に決めたんだ。君に引き受けてもらわないと困る」