青森の祖父の家に引き取られてしばらく経ったある日のこと。
祖母が暮らす介護施設で彼女の話し相手をしているところに、坂本が訪ねてきた。

「よくここがわかりましたね」
「レコード会社の高橋さんに聞いたんだ。介護施設で手伝いをしていることもね」
「なにか御用ですか」
「失礼を承知で聞いて欲しい。君はいつまで田舎に引きこもってるつもりなんだ。琴音くんは君が帰ってくるのを待ってる」
「オレが琴音のところに戻ったら、迷惑がかかります」