松本を連れて、現場検証が始まった。
口を挟まないという条件で倖太も同行させた。

「21時前後に捨てたということだが、どこから死体を捨てた?」
「もう話しましたが」
「テニスコートを横切って、本当に川岸まで運んだのか? どうやって?」
「……それは」
「引きずったのか?」
「いいえ」
「再現してもらおう。まず水原アヤは横浜から車で移動してきた。駆けつけた時、君は車をどこに止めた?」
「ここの駐車場です」

「死体を捨てた時、もう、被害者は亡くなっていたのかね」
「はい」
「どんな服を着ていた?」
「え……」
「死体を捨てたなら覚えているはずだ。靴は? バッグはどうした?」

松本の目が泳いだ。
思い出すそぶりをしているが、落ち着きなく鼻を触っている。