「君は僕の目の前で、墓を暴こうとしたんだからね。身内と思えば、今度は君が指輪を隠すかもしれない」
「そんなことしません」
「それなら待とう。強制したって意味ないんだ。どのみち容疑者は亡くなっているんだし、できれば君のお祖母さんの重荷も軽くしたい」

重荷、と言われ、ふっと倖太の顔が浮かんだ。
僕は倖太に責任をとらなくてならない。

でもどうやって?

「一度はうまく隠したつもりでも、永遠に隠し通せるなんて思わない方がいいんだ。春が来たら雪が解けると思わなくちゃ」

倖太はいつも悲しみを隠してた。
僕たち家族のせいだ。

「心配しなくても逃げられやしない。見張りをつけてある」
「いつの間に」
「この雪の中で、慣れない僕が張り込みなんてできるわけないだろ。県警に頼んである」
「……」
「自分にできないことは他人に頼んだっていいんだ。ほら、電話だ」
 
玉木が電話に出て、財布を投げてよこした。払ってこいってこと?
レジで支払いをしている間に、話は終わっていた。

「行こう」
「……はい」