タマテルにしては強引な態度で玄関に滑り込む。

「女優の立花美香さんが殺された件で伺いました。もうわかってますよね」
「……なんのことでしょう」
「容疑者は今取り調べ中でして。被害者が持っていた遺留品をこちらに送ったと供述してるんです。わかってますよね」
「……なんのことか」
「お宅のお嬢さんが、被害者の遺体を遺棄したと思われるんですよ。何も知らないと言い張るつもりですか」

祖母の顔色がさっと変わった。
チラチラと僕を見ている。

「こちらは水原アヤさんの息子さんです。もうわかってるとおもいますけど」
「……」
「我々は水原アヤさんが何か事情を知っていると思っていましたが、亡くなられたため、お話を伺えませんでした。これは殺人事件なんです。何か彼女はこちらに預けていますよね」
「娘は、何も」
「わかりました。何も預かっていないんですね」
「はい」
「それなら、今、取り調べている容疑者が犯人ということになりますね。殺人に死体遺棄、証拠隠滅、終身刑に間違いないでしょうね。被害者は有名な女優です、ひょっとしたら死刑になるかもしれませんねえ。いやー、安心しました!」
「え」
「明日にも事件は解決です。上司に報告しますね。ご協力どうもありがとうございます。殺された美香さんも浮かばれることでしょう」
「……」
「私の名刺を置いていきます。何か思い出したことがあったら連絡下さい」

強引に名刺を握らせると、「それでは、これで失礼致します」とすぐに玄関を出た。