「というわけで、君にも来てもらうよ」
「わかりました」
「辛い現実を知るかもしれないけど」
「今より辛い現実はありませんから」
「そう。後悔しても、僕は謝らないよ。仕事だからね」

倖太には黙ってて言われ、僕は玉木と飛行機に乗り込んだ。
本来なら捜査に一般人が付いていっていいわけがないけど。
「どうして僕なんですか?」
「用があるのは君のお祖母さんだからね。半分は芝居だから。君は何があっても黙っていて。ひとことも喋っちゃダメだ。いいね」

弘前市へ着いた。君のお母さんの実家だと言われ、緊張する。

インターホンを押すと、「警察です」と玉木は言い、すぐに玄関に現れた祖母に言い放った。

「水原ゆきこさんですね。娘さんの件でお話があります」
「……」
「蒲田署の玉木といいます。玄関先で構いません。入れてもらいますよ」