クリスマスの夜、ケーキを食べながら、僕は切り出した。

「こないだ墓参りしてきたよ」
「そうか」
「美香さんの墓を開けた」

ケーキを小さく切り分けていたフォークが、音を立てて転がった。

「どうして、美香さんの家族でもない父さんたちが、バッグを納めたのか聞かせてもらおうか。答えないなら僕は警察に行く」
「琴音、ちょ、ちょっと待ってくれ」
「遺品を納めたんでしょ?」
「なんでそれを」
「お寺の人が話してくれたよ。倖太に話してもいいよね? 問題ないよね」
「……」
「立ち会ったのは父さんと母さんと倖太なんだろ」

違うのは解っている。だれかが、倖太に成りすました。

「何の問題もないよね。クリスマスにこんな話をしないといけないなんて僕も辛いんだよ父さん」
「父さんの話を聞いてくれないか」
「なんでも聞くよ」