「お前と生きていきたい」
「……」

可愛い顔してるくせに、ワガママで野心家で。
そんな琴音と出会って、母を思い出した。
傷ついて困り果てていた心が生き返った気がしたんだ。

「オレはお前に幸せになって欲しい」
「……君は?」

琴音が手を引いて、参拝客の列からそっと外れた。

「本職は歌手なんだろ。この前、ドームで踊ってた時、すごく楽しそうだった。一生僕のマネージャーでいいのかい? もったいないよ」
「それなら」
「なに」
「ひとつずつ片付けていこう。オレはなにひとつ諦めるつもりなんてないから安心して」


新しい一年が始まる。
そばにいさせて。