数日後、倖太にホテルに呼び出された。
駅に着いて連絡すると、送迎の車が用意されていた。

僕一人では、とても泊まれないようなハイクラスのホテル。
ラウンジで待ち合わせた倖太が手を振った。

「何か飲む?」
「オレンジジュース」
「レストラン予約するけど、晩飯何がいい?」
「何でもいいよ。肉なら」
「わかった。あと、今日はケーキあるから」

ジュースを頼むと同時に、ディナーの予約をする。


歌がうまくてダンスがうまくて、紳士的で、ついでに顔もいい。
僕ほどじゃないけど。
スタイリングをしなくても、オレンジ色の髪はふわっと顔を覆っている。




こんな『いい子』をどうして母さんは嫌った?

嫌っていたのに、どうして手元に置いた?



「疲れてる?」
「え……。うん、少しね」
「部屋に行こう」