倖太は足を止めて、傘を畳んだ。
僕の持っている傘を取ると、相合傘になる。

「お前、めんどくさいよ。他人の言葉を気にしすぎなんだよ」
「だって」
「すぐ怒るし落ち込むし。お前みたいなめんどくさい奴、オレ以外に誰が面倒みるんだよ」
「……」
「邪魔だなんて思ったことない」

愛してるに決まっているよ、と倖太は言った。
雨音に消されない程度に、それでいて僕だけに聞こえるような大きさで。