「あの、失礼ですが、お客さん、水原琴音さんじゃないですか」
「そうですけど」
「やっぱり！」

店員が水をテーブルに運んできて言った。

「友達から聞いてます」
「……友達？」
「倖太の友達なんです」

倖太に友達なんていたのか。
……そうか、地元だもんな。

「話には聞いてたけど、本当にマネージャーやってたんですね」
「ええ。彼には良くしてもらってます」

その店員はさっと味噌ラーメンを作って出してきた。

「倖太の家、この近くなんですか。迷っちゃって」
「一緒に暮らしてるんじゃ？」
「ちょっと事情があって。……ちょっと待って、なんで知ってるんですか」
「水原さんのブログで見ました」



どうしても聞きたいことがあって、とラーメン屋の店員が、唐揚げが乗ったミニ丼を持ってきた。

「サービスです」
「どうも。聞きたいことって」
「……水原さんは、倖太のことをどう思ってるんですか」
「なんで？」
「こないだの特番見ました。水原さんのお母さんが疑われてるって、週刊誌で」
「逮捕されたわけでもないんですけど？」