「ただいま」

返事が無い。
彼は台所にいなかった。

彼に貸している部屋のドアをノックする。

「倖太、いる?」
「いるよ。おかえり」

真っ暗な部屋に、ぐったり横になっている。
いつもは疲れた顔なんて見せないのに、Yシャツのまま、床に転がっている。

「ただいま。生放送見たよ」
「……ああ」
「疲れてる?」
「うん少しな」
「電気ぐらいつけなよ」