セカンドデビュー【完】

「受かりそうなのか?」

ぶしつけな親父の質問にも、笑顔で答える。

「受かると思うよ」
「そうか」
「水原アヤさんのところだから」
「母さんの友達のか」
「他に誰がいるの。お葬式以来だったけど、元気そうだったよ」

お茶を入れましょうか、と食器棚に向かう。

「倖太さん、チーズケーキ作ってきたの。一緒に食べましょう」
「ありがとうございます」

……気を遣っていただいて。

……別に、この人が嫌いなわけではない。
親父と幸せに暮らしているなら、それはそれでいい。

そうだよ。
親父だって、幸せになる権利がある。
誰と暮らしたっていい。