自分の身になにが起きたのかを、家族から知らされるというのは、あまり気持ちのいいものじゃない。
右の下腹がざっくりと割れていたらしい。
触ってみると、包帯の下に縫い目を感じる。

僕、よく生きてたな。

久しぶりに家族全員と会えて、僕は喋り過ぎた。
長話は傷にさわりますと、看護士が家族を帰してしまった。
倖太も、少し疲れている。

「……家に帰ってもいいよ?」
「ん……。大丈夫。話し相手いないと退屈だろ」
「そうだけど。疲れてない?」
「ちゃんと寝てるよ、琴音が寝てる間に」

彼の優しさが痛い。
謝りたい。でも何から言えばいいのかわからない。

「しばらく、ダンスも乗馬もお休みだな」
「ごめんね」
「気にするな。早く傷を治して。オレがいてあげるから」