「どう? 元気?」
「あんまり」

「大河は決まった?」
「それどころじゃなくて。ホラ、腹刺されちゃって」
「ははっ、マジで?」
「ほんとですよ。……こんなところで、何してるんですか」
「友達待ってるの」

赤いバッグからお菓子を取りだそうとして「あ、ごめんなかった」と笑う。
「怪我してるのね、可哀想に」
そういって、髪を撫でてくれた。

そのしぐさが、……倖太に、似てる。



「どうしたの?」

「いえ、あの、友達に似てて」

「そうなんだ。どんな子?」

「しっかりしてるけど、優しくて、おっとりしてて……」


彼を、泣かせてしまった。
僕が言い過ぎた。