セカンドデビュー【完】

オレの世界から、彼女だけがいなくなった。
いなくなってしまったから、余計に思い出すのかもしれない。

車は信号で止まり、陽の光が眩しくなった。
もう、夏が近い。

「お土産買ってくるわね」
「はい。気をつけて」

横断歩道を渡る人ごみにまぎれて、彼女の姿が見えなくなった。