「演技だとわかってるけど、オレは琴音が他の男とキスしてるの、見たくなかった」
「何言ってるの、口はつけてないよ。首をこうかしげて、してるように見せただけだよ」

ひょいと背伸びをして、琴音はオレの右肩を押さえて、首を軽くかしげた。
「……!」
唇が触れる瞬間に止まる。
「ね、寸止めしてるだろ。問題ないよ」

問題ないかもしれないけど、確かに、誤解されてもおかしくないな。

「美少年同士がちょっといちゃいちゃするだけで、話題になったりするし。視聴率が取れれば、いいんだし、僕は僕の仕事をしただけだよ」

監督と話してくると、琴音はオレを置き去りにしてスタジオへ戻った。