テレビも消えてしまったので、急に部屋が静かになった。

「橘さん、転ばないでね」
「ああ」

皿落としてもイヤだしな。
真っ暗のキッチンを横切り、琴音のソファに一緒に座る。

「ヘンな日だね」
「そうだな」

琴音にご飯作ったり、ソファに並んで雷を見てる。

「女の子だったら良かったのに」
「こっちのセリフだよ」

ことん、と肩に琴音が寄りかかってきた。

「……しばらくこうしてて」
「……」

灯りが消えた街の片隅で、琴音の息遣いを聞いてる。
しばらくそのままでいると、眠ってしまったようだ。

「仕方ないな……」

琴音の頭をひざに乗せてやる。
オレは帰れないけど、まあ……いいか。