「ちょっと、なんかダンススクールから電話が来たんだけど、一体どういうことなの」

アヤさんだ。

「琴音から聞いてませんか、ダンスとボイトレを習わせることにしたんです、口座振込の案内も渡したはずですけど?」
「何も聞いてないし、もらってないわよ」
「……わかりました、琴音に探させます」
「あの子がボイトレ始めるなんて。倖太くん、あなたの入れ知恵?」
「アヤさんは、男の子も扱い方がわかってないですよね。無理難題をふっかけた方が、琴音みたいな意地っ張りは言うことを聞くんですよ」
「……あなたの言うことは聞くのね」
「僕の、というか、コツの問題ですよ。琴音を歌手にしたいんでしょう?」