「お待たせしました」

会議室に入ってはきたのは、女優の水原アヤ。

2時間物のサスペンスによく出ている。
もしくは、学園ドラマの女教師役が多い。

黒のピンストライプのパンツスーツにメガネ。
緩く巻いた髪を黒のシュシュでまとめて、分厚いファイルを持っている様は、テレビを通してみる彼女のイメージそのものだった。


「初めまして、水原アヤです。オーディションと言っても、今日の面接は私だけですので、緊張しないで下さいね」

高校生の子供が一人いるとは、思えないくらい可愛らしく微笑むと、水原アヤは机の上にファイルを置いた。


「まず……」


「1番と4番、12番のあなた。立ちなさい」

いきなりだなオイ。

「帰っていいわよ」

え?