「ふむ」

 これはまずい展開かな?

 相手のさらなる怯えた態度に、自分が何かやらかしたのだろうと考える。

[悪魔だぁ!]

「おろ?」

 何かを叫びながら男は走って逃げていく。

 ベリルには当然のごとく男が叫んだ言葉は解らない。

 ベリルの瞳は神秘性も兼ね備えられ、とても印象的だ。

 暗闇で突然に現れた姿に驚きその瞳だけが記憶に焼き付いてしまっても仕方がない。

 解らない言語を喋っている事と強烈な存在感を放つ瞳に加えて魔法が利かないせいで悪魔にされてしまった。

 ある意味、悪魔と言えない事も無い性格のベリルだが。

 とりあえず、ここにいては危険だ。

 すでに陽はすっかり傾き、街は影に支配されている。

 姿を隠すには暗闇は都合が良い。