翡翠の悪魔の裏事情

 自らで希望した出現の仕方ではないというのに、こうまで怯えられては次にどうすればいいのか考えあぐねる。

「む?」

 そうこうしているうちに男が口の中で何かを唱えている。

 そもそも言葉が解らない故にさっぱりだ。

 しかし、唱え終わった刹那、光の弾が飛んできた。

 さすがにこれには多少の驚きを見せて身を守るように両腕を顔の前でクロスした。

 しかし、

[ひっ!?]

 光の弾はベリルの目の前で雲のようにかき消えて、男はますます全身を震わせる。

[ま、魔法が利かない!? やっぱり──]

 何かを喋っているようだがベリルはいまいちその状況が掴めず首をかしげた。