翡翠の悪魔の裏事情

 怯える男を見やると、やはり現代とは異なっていた。

 その服装は当初のイメージ通りに中世を思わせる。

 しかし言葉が解らないという事は過去でもない。

 一歩、近づいてみる。

 それに合わせるように男も一歩後ずさりした。

「ここはどこだ」

 通じないようだが一応は訪ねてみる。

[ヒッ!? くっ、来るな!]

 ガタガタと全身を震わせて青ざめた顔で引き気味に絞り出す。

「ふむ」

 随分と怯えられている、どうしたものか。

 私が何をした訳でもないだろうにこの怯え方はいくらなんでもだろう。

 そう思いつつ、突然に現れた事と服装とを考えてなんとなく相手の気持ちも理解した。