翡翠の悪魔の裏事情

[くそっ、どこに行った]

 悪魔の影すらも捉えられずに舌打ちしたとき、足に違和感が──トラップか!?

[うわあああぁぁ!?]

 いくつもの奇怪な音に耳をふさぐ。

 恐ろしさに逃げたくなる気持ちを抑えてよく見ると、それは簡単に作られたカスタネットだった。

 足下にある細いヒモをひっかけると、音を鳴らしながらぶら下げられたカスタネットが落ちてくるというシロモノだ。

[……なんだ?]

 あざ笑うように、ぶら下がっているカスタネットが揺れる。

[馬鹿にしやがって]

 男は鋭い眼差しを宙に向けた。

 体格の良い男は、馬鹿にされている感覚に怒りを覚え大きな足音を立てて獣道をまさに獣のごとく駆け抜ける。