翡翠の悪魔の裏事情

 もしや手配書なんかも配られてるのかねと、張られている罠の確認をして回った。

 今日は諦めたのか、あの二人に詫びでも入れているのだろうか、人影や気配はすでになくブービートラップを探して解除と回収を繰り返した。

 意外と多く仕掛けられている。一つ一つを分解し、細工を始めた。

 こういう罠も久しぶりだ、自然と鼻歌が漏れる。ブービートラップは嫌いじゃない。

 むしろ、想像力をかき立てられて心が弾むというものだ。

 どういう罠にしようか、どんな風にひっかかるだろうかなど、考える度に嬉しくなる。

 ふと、そういえばこっちに来てから大きな声で笑っていない。

 身を隠している状況では仕方ないにしても、そろそろどうやって誤解を解くべきかも思案せねばならない。

 そこでベリルは作業の手を止めて険しく宙を見つめた。

 何故、私はこうも逃げ続けているのだ──?