翡翠の悪魔の裏事情

[メトジロ。ミミフサゲ]

 む、だめか? 目を閉じて耳をふさいで欲しいのだが。

 怪訝な表情を浮かべる二人にベリルは仕方なく目と耳と示した。

 それでようやく、なんとなく伝わったようだ。

 確認してショルダーホルスターに固定していたスタングレネードを掴み、ピンを抜いて男たちに投げ、すぐさま背を向ける。

 スタングレネードの威力を軽減させるには効果的な方法だ。

 そのとき、一瞬だが青年と目が合った──瞬く間の激しい音と閃光を背にベリルはその場をあとにする。

 かなり遠ざかった所で、誰も追ってこない事を確認して立ち止まる。

 これであの青年が間違われる事は無いだろう。

 顔を見せてしまったため、今まで以上に警戒を強めなければならなくなってしまったが、誰かが疑われるよりは良い。