翡翠の悪魔の裏事情

 ベリルは口の中で舌打ちし、持っていた爆竹に火をつけ近づいてくる集団に放り投げた。

 爆竹特有の破裂音が男たちの動きを止める。

 青年はその隙を見逃さず少女を網から助け出し、同時にベリルも二人との距離を詰める。

 そうして、ほぼ彼らの真上に位置した。

 緊迫した空気がベリルの気配をいっそう押し隠す。

 少女を助け出したはいいが、それ以上はどうにもならない。

 そんな二人に放たれる矢と光弾──青年は少女を護るように覆い被さった。

 ベリルはそんな二人の前に飛び降りる。

 突然、現れた影に驚く二人を一瞥し、左腕に矢を受ける。

 向かってきていた光弾は、やはりベリルの前でかき消えた。

 どうやら本当に魔法は利かないらしい。