翡翠の悪魔の裏事情

「わちゃ……」

 ベリルは右手で顔を覆った。

 少女がブービートラップにかかってしまっている。

 人々が仕掛けた罠をベリルが移動させたのだが、悪い事をしてしまった。

 青年は少女を助けようと一歩、足を進めてすぐ体をひねり、放たれた矢を素早く避けた。

 ベリルはそれに、よくも避けたと感心した。

 続けて、青年は降り注ぐ矢を腰に携えている剣で振り払う。

 その動きから、かなりの手練れだと窺えた。

 青年は少女を置いていく事が出来ずに、目の前の男たちに睨みを利かせた。

 二人とベリルの距離はわずか八メートル弱だが、完全に気配を消しているベリルに誰一人として気が付かない。

 背後から大勢の声が近づいてくる、このままでは危険だ。