時はすでに夕刻らしく、空はオレンジに染まりつつある。

 狭い通路に人影はほとんどなく、静かな路地裏といったところか。

 記憶にあるどこかの国の風景とは似ているようで、肌から伝わる空気がどこか違っている。

「ん」

 数秒ほど沈黙していたベリルは、手にスタングレネードが三つ握られている事に気付いた。

 とりあえず腰のベルトに二つ、ショルダーホルスターに一つそれらを固定する。

[な、なんだあんた]

「お?」

 周りの景色に驚いて近くに人がいた事に気が付かなかった。

 いや、それだけだろうか?

 そもそも彼らの言葉が解らない。

 態度と表情からして私に怯えている事は解る。

 おそらく彼にとって突然、私はここに現れたのだろう。