翡翠の悪魔の裏事情

[他の場所にも仕掛けるぞ]

 遠ざかる男たちを確認して、ベリルは木から飛び降りた。

「ふむ」

 周囲に気配を配りながら罠を眺めて思案するようにあごをさする。

 そして、警戒しつつ再び木の上で森の中を探った。

「うん?」

 すると、湖の方から微かに水音が聞こえ、息を潜めて目を凝らすと少女が水浴びをしていた。

 こいつはまずいなと眉を寄せる。

 どうやら周囲の状況に気付いていないらしい。

 少女のようだからベリルと間違えられる事は無いとはいえ、裸を見られるのは嫌だろう。

 十六歳ほどの少女の裸体にさして関心のないベリルは無表情に見やった。

 どんな年齢にでもベリルはまったく興味が湧かない。

 性欲どころか恋愛感情自体が欠落している。