早朝、街の男たちは手に手に武器を持ち森に向かった。

「ん?」

 森の入り口で外を窺っていたベリルの視界にいくつかの人影が映る。

 あちゃ、もう来たのか。

 木の上からざっと数えただけで二十人から三十人近くいるようだ。

「多いな」

 これはまずい、手加減が難しい。

 ベリルは勝つ気でいるが、あながち虚勢を張っている訳でもない。

 義賊「リリパット」の間からも、シーフ(盗賊)としての能力は高く評価されている。

 もっとも、シーフになる気はさらさら無い。

 自身の持つ身体能力を極限まで使いこなせるようにと学んだに過ぎない。