[ヒッ!? 悪魔だ]

「む」

 しまった、見られてしまったか──この状況ではどう考えても私が殺した事になる。

 ベリルはすっと影に身を隠し、そこから遠ざかった。

 状況は悪くなるばかりだ。悪魔を探す人数もふくれあがっている。

 死人が出た事で、街はさらに殺気立つ。

 もはや、誰もベリルが人間などとは思っていない。

[これだけ探しても見つからないなんて……]

 悔しげに低くくぐもった声でつぶやく。