翡翠の悪魔の裏事情


 ──夜がまた訪れる。

 ベリルは目の前にいる男に目を眇めた。

 ぴくりとも動かず石畳に転がっている。

 恐怖に目を見開いたまま血の気もなくベリルを見つめていた。

 しゃがみ込み、首筋に指を当てる。

「死んでいる」

 外傷は見あたらない、現代でいえば「変死」だ。

 私とは関係の無い処で何かが起っているのか?

 いや、ここに飛ばされて来た事に何か関係があるのかもしれない。