翡翠の悪魔の裏事情


 ──朝になり、かっぱらった剣を眺める。

「ふむ……」

 長さも重さも丁度良い。

 ベリルが手にしている武器は「グラディウス」と呼ばれる剣だ。

 六十センチほどの長さで軽く造られている武器である。

 身軽な動きを活かすなら、この程度がベリルには合っていた。

 昨日まででなんとなくだが文法は理解した。

 あとは単語だ。

 どうあがいても、それは困難だと窺える。

 次は本でも借りてくるかと考える。後で返せるものは盗む気は無い。

 そもそも盗みなんてしたくはない。

 誰が好きこのんで人のものなど盗るものか。

 しかし今は非常事態だ、これくらい許せとかなんとか思いながら剣を数回、振った。