チェックし終えたスタングレネードを片付けようと立ち上がった瞬間、目の前の視界が歪んだ。
「ん?」
眉を寄せた刹那──稲妻のような音が周囲にほとばしり光は何かに吸い込まれるように消え失せた。
重力までもが無くなったように、上も下も解らない状態になる。
こうなってしまってはどうしようもないとベリルは目を閉じる。
しかしすぐ、足が地に着いた感覚を確認しゆっくり目を開いた。
「む」
目の前に広がる風景を見て眉間にしわを刻んだ。
部屋の中にいたはずがどう見てもここは屋外でしかも中世を思わせる町並みに様変わりしていた。
煉瓦造りの壁やアーチ型の立体交差が視界に微かに映る美しい情景ではある。
観光であるならば、とても素晴らしい場所だ。