傭兵とはこういうものなのかと思われがちだが彼が特別、武器を持ち歩いているというだけだ。

 当然のように仲間たちからは、

「全身凶器」と密かにささやかれている。

 装備している武器の多さだけでなく、洗練された格闘術がそれを知らしめていた。

 着やせするタイプでもあるのか、鍛え上げられた体にしてはとても細く見える。

 小柄な体格である己の持つ全てを活かすために鍛えた体は、強靱にかつ柔軟で機敏な動きを可能にしていた。

 彼が初めに手にしていたスタングレネードは非殺傷武器としては優秀だ。

 まばゆい光は一秒にも満たないが、その激しい光は見た者の視界をわずかな間だが閉ざしてしまう。

 そして、耳をつんざく音に鼓膜はしばらく使い物にならない。

 たった数秒間の効果だがそれだけあれば訓練された兵士なら、充分にその効果を使いこなす事が出来るだろう。

 使う場所によっては危険な場合もあるため手軽に使用出来るという訳でもない。