何もかもが裏目に出る、これほど上手くいかない事は初めてかもしれない。

 なんだか楽しくなってきたぞと、ベリルは喉の奥から絞り出すように笑った。

 窮地に陥った時こそ、彼の悪い癖が顔を出す。

『いかな状況にあっても楽しむ事にする』

 それが己の感情をマイナスに向かわせない方法だ。

 ネガティブ思考は判断を狂わせる。常に冷静に、それが重要なのである。

 彼の場合、周囲を巻き込んでの嫌がらせを思いつく。

『悪魔のベリル』という通り名は、こういう部分からも来ている。