それから二日ほど森に身を潜めていたベリルは深夜に街に向かった。
少しは落ち着いただろうと考えていたが甘かったようだ、街は未だ緊張感を漂わせ張り詰めた空気が新たな来訪者に突き刺さる。
そこかしこにたいまつが灯され、侵入者を逃すまいと牽制するように、夜だというのに街はオレンジの炎で明るかった。
時折、風にたいまつの火花が流されて美しくも炎は揺れる。
「参ったな」
これでは身動きがとれん。
誤解され続けるのもどうかと、やはり捕まった方が楽そうかなと考える。
しかしどう思考をめぐらせた処で、生やさしい尋問になるとは思えない。