翡翠の悪魔の裏事情


 しばらく駆けていたベリルは、背後からの声は聞こえないと確認して立ち止まる。

 どうやら人を呼ぶ事はないようだ。

 ひとまず安心してマントを羽織りフードを被った。

[いたぞ!]

[こっちだ!]

 気が付けばベリルを追っていた人間は数十人に脹らんでいた。

 逃げようと足を向ける方向から続々と人影が現れて周りを取り囲まれる。

[こいつが悪魔か?]

 フードを目深に被っているベリルを一人の男がいぶかしげに見つめる。

[見ろっ! 矢が当たったはずなのに少しもその形跡が無い]

 ちらりと見えた腕を指差すと、そこにいる人々はざわついた。