しばらく辿っていくが、男たちは数百メートルほどでぱたりと足を止めた。

[ここで途切れてるぞ]

[まさか……]

[死なないのか?]

 途切れた血痕の近くには命中した矢が残されていた。

 その先端には血がべっとりと付いている。

 矢に残る血を見た限り、深々と突き刺さったはずだ。

 これだけの矢に貫かれてもなお逃げおおせた──悪魔でなければなんなんだ?

[とにかく探せ!]

 男の一人が気を取り直すように声を張り上げると、その場にいた男たちは散り散りに駆けていった。

 ベリルはその様子を煉瓦造りの建物のベランダから眺める。

 この怪我でここまで上るのは苦労した。