すらりとした指が暗く塗られた金属の筒を滑っていく、丁寧に扱われるそれは冷たく鈍い輝きを放ち、存在に相応しく無骨な造りに青年は無表情な視線を落とした。

 一般的な欧米調の室内は広く、リビングには革張りのソファが二つテーブルに寄り添うように置かれている。

 その前には五十インチ近くあるLEDテレビがニュース番組を流し存在を主張していた。

 ──オーストラリア連邦、ノーザンテリトリー準州の首府ダーウィンにその家はある。

 青年の名はベリル・レジデント、金色のショートヘアに印象的なエメラルドの瞳と整った顔立ちはアジア系とは異なるけれどはっきりとした人種までは解らない。

 切れ長の瞳に際立つ存在感は人の目を惹きつける。

 デニムのパンツに黒いインナースーツ、前開きのシャツを合わせた恰好をしている。

 武器を隠し持つためのいつものスタイルだが彼は何者かというと、おおよそ外見からは想像もつかない傭兵という職に就いている。